着物情報館しまのわ

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左前はなぜ縁起が悪いのか

2016/07/19

うっかりやってしまいがちな失敗

洋服はボタンやファスナーがついているか、Tシャツのようにもとから前が閉じています。しかし着物には目印がないので、自分で衿の合わせをつくる必要がありますよね。

衿は右前がルールです。

右前とは相手から見て右側、つまり自分の左側の前身頃が上にくる着方。右を先に着ることから右前とよばれるといいます。

ところが、着物を着慣れない人のなかにはうっかり左前で着てしまう人がしばしばいるようです。左前は縁起が悪いと考えられているので、不快に感じる人も多くいます。

ではなぜ左前はよくないとされているのでしょうか。

死とつながっている左前

左前が不吉といわれるわけは、亡くなった人にしてあげる着方だからです。

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現代日本でも、仏教方式のお葬式では白装束を左前に着せて棺に納めます。

亡くなった人の着物を左前にする理由には、いくつかの説があります。そのなかでも有力なのは次の3つです。

ひとつめは、奈良時代の法律を起源とする説です。

奈良時代の養老という元号のときに、政治家の藤原仲麻呂たちによって養老律令という法律がつくられました。このなかの衣服令(えぶくりょう)で、庶民は着物を右前に着るよう決められます。

奈良時代は貴族中心の時代で、庶民は貧しい生活をさせられました。

そこで、「来世では今と違う生活ができるように」という願いをこめて死者の着物を左前にしたのがはじまりだといわれます。

ふたつめは、仏教の教祖・ブッダが亡くなったときに着物を左前にしていたからという説です。

日本に仏教が伝来したのは6世紀の飛鳥時代ごろ。日本文化に深く根づいているのは言うまでもありません。ブッダと同じ姿で終わりをむかえて、安らかな旅立ちを願ったのでしょう。

ただし、仏教徒の服装は粗末な布を体に巻くだけと決められていて、日本の着物とは異なります。本当にブッダが左前の着物を着ていたのかはよくわかりません。

みっつめは、この世とあの世は正反対の場所だからという説です。

あの世に行く亡くなった人を、この世と逆の姿で送りだしてあげようと考えて、左前にしたのではないかというわけです。

それぞれに由来は違いますが、死に関連している点は同じです。

武士が切腹するときに着る死装束も左前でした。左前は死を連想させるので不吉なのです。

こんなときにも気をつけましょう

最近は自分で自分の写真を取る自撮りがとても人気です。その写真をSNSに投降する人もたくさんいます。

けれど、着物姿で撮るときには注意が必要です。鏡に映った自分を撮ったり、写真を左右反転したりすると左前に見えてしまいます。SNSで目にした人がいやな気分になるかもしれません。右前に見えるよう写真を調整しましょう。

せっかくきれいな着物を着るのですから、素直に美しいと思ってもらえる気配りを忘れないようにしたいですね。

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